非結核性抗酸菌症
結核緊急事態宣言が出された結核病でありましたが、幸いにも近年減少の傾向があります。
これに対し、ひとには感染しない非結核性抗酸菌症が問題となっています。
大変病原性の低い菌です。
このためヒトからヒトには感染しませんが土、埃、水など環境に生息しており、これを吸い込むことでごく一部の患者
さんの肺を中心に病変を生じます。
お湯を使う生活が病気を広げているとの指摘があり、私もそう思います。
一度排菌が停止しても、再発して、
やがて不幸な転帰をとる患者さんが少なくありません。
更に厄介なのは病気を作る菌は多数あり、各菌種により治療法が異なります。
また医師にも混乱があり、治癒可能な菌種でありながら知識不足のため、治癒困難と説明したりして患者さんを苦しめております。
ヒトへの感染は否定されているのに入院や診察を拒否されたりすることも稀ではありません。
治療には長い期間が必要で通常1年以上とされます。
最も多い菌種はMycobacterium avium complex(MAC)で70-75%、次いでM.kansasiiが20-25%とされます。
現在の標準療法が継続可能な場合、MACでは89%は排菌停止が期待されますが、種々の理由で継続できない方が多く、問題です。
MACは女性に多く、M.kansasii症では90%程度が男性です。
MACは再発が多いのですが、M.kansasii症の再発は稀です。
入院は原則不要であり、入院するのは血痰や喀血例、発熱など症状がある場合、治療に難渋する場合、手術例などです。
治療は初回はストマイまたはカナマイ、クラリスロマイシン、エサンブトール、リファンピシンの併用となります。
キードラッグはクラリスロマイシンであり、服薬継続には胃腸障害が問題となります。精神的に過敏な方が多く、
この方面のケアが大切です。
また食事の細い方が多く栄養対策も重要です。
厄介な薬剤副作用は視神経炎であり、
頻度は少ないながらも患者さんを苦しめるので早期発見が肝要であります。
このため眼科医との併診が求められますが、
毎月の受診が必要であり、患者さんには視力に異常を感じたら即服薬中止と指導することが肝要です。
空洞が残る例や再発例では手術療法を考慮すべきです。
いずれにせよ専門家の助言が必要な疾患の一つです。